お仏壇の扉は開けておくの?閉めておくの?
多くのお客様に尋ねられることですが、お仏壇をお手入れする立場からすると、湿度の高い季節や地域の場合は
「閉めておくよりも、開けておいたほうが無難」
と言えるでしょうか。
ただし、これはあくまでも普段お家に誰もいらっしゃらない極端なケース、たとえば、1人暮らしの方が入院されている場合や、だれも住んでおられないご実家にお仏壇を置いたままにされている場合などです。
じつは、お仏壇の扉は閉じておいてもほこりが入らないことはありません。
たとえば、空き家で窓や玄関の戸をしめておいても、どんどん砂ぼこりがたまっていきますよね。これと同じようなことです。
そして、ほこりよりもむしろ、湿気がお仏壇の中に溜まることの方が後々面倒なことになります。
引出しは出しておく時間よりもお仏壇の中に入っている時間の方が圧倒的に長いため、ほこりはあまり溜まらないように思われますが、そのかわりに湿気によってこのような状態になります。これは引出しに限らずお仏壇全体に言えることですのでご注意ください。
サラサラのほこりは毛ばたきや布を使えば簡単に取り除くことができますが、湿気によって固まったゴミやほこりは取れにくく、そこへさらにほこりや湿気がたまるという悪循環になります。
また、塗装面以上に困るのが金箔箇所に水分が付着したままになることです。このような状態が続くと水分のあとが金箔の表面に残ってしまう原因になります。
これらのことから、お仏壇の扉の開閉を長期間行わない場合は、湿気をこもらせないために外側の扉はある程度開けておき、ほこりの進入を少しでも防ぐために障子(内側の扉)は閉めておくようにするのがいいのではないでしょうか。
同時に、扉や障子、お仏壇の外側へのほこりの付着をしにくくするため、それぞれを軽く新聞紙で覆うようにしておくとよりよいかもしれません。そして新聞紙は定期的に取り替えましょう。
ときどき、空家になっているご実家のお仏壇をご自宅へ移動したり、他の方へお譲りされる際にお手入れをさせていただくのですが、金箔に水滴が付いている場合は乾いた状態にしてからでないとどこまで修理をすればよいのか判断がつきにくいため、修理屋の頭を悩ませることになります(^^;
梅雨時期などの湿度の高いときは、お天気の良い日に窓を開けてお仏壇にも風を通すようにしてください。
いずれにしても、ある程度ほこりや湿気が溜まると汚れやカビがどんどん広がっていきますので、定期的なお手入れは欠かさないようにしてください。
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仏檀修理アドバイザー
富山県内仏壇店での仏壇製造・修理現場勤務をきっかけに独立。気がつけば20年以上お仏壇の修理・お手入れに携わってきました。
当サイトがお仏壇の修理や取り扱いに関することなどでお悩みのあなたのお力になることができれば幸いです。
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