「今日こそは、お仏壇のお掃除を‥」 - お掃除の手順と注意事項について -
お仏壇のお掃除って、
「今日こそは!」
と気合いを入れないとなかなか取りかかれないことのうちの一つに入るのではないでしょうか。(笑)
そしてせっかく意を決してもいざお仏壇の掃除に取りかかろうとすると
「お仏壇のお掃除?何から手をつけてよいのやら‥」
「むやみに触るのはなんだかコワイわ」
と‥。
ここではそのよう
「掃除の仕方がわからない」
「掃除の手順がわからない」
という方のためにお仏壇のお掃除の流れを書いてみます。
お掃除の際に特に注意していただきたい事項には「」(注意)マークをつけてありますのであわせてご覧ください。
本文より注意事項のほうが多かったりします‥(^^;
<準備するもの>
まずは、次のものをご準備ください。
- 掃除機
- 毛ばたき(毛箒)
- 新聞紙 : 取り出した仏具などの下に敷きます
- きれいな布または脱脂綿 : 汚れ取り用、つや出し用、乾拭き用の3種類
- 塗装面を磨く磨き剤 : 仏壇店・仏具店などで販売されています
- 金属磨き : 金属製仏具を磨くためのもので、上記のお店やホームセンターなどで販売されています
- 歯ブラシ : 仏具の模様の間に詰まった汚れや金属磨きを取り除くためのものです
1.仏具を取り出す
お仏壇の中からすべての仏具類(金属製・木製)を取り出し、テーブルまたは床に敷いた新聞紙の上に並べます。このとき、仏具を元通りの場所に戻せるように、あらかじめ写真を撮っておいたりお仏壇の各段ごとにあったものをそのままの位置関係を保ったまま並べておくとよいでしょう。
- 金箔には素手で触れないでください。金箔がはがれたり指紋の跡が残る場合があります。必要な場合は手袋をしてください。
- 金属製仏具を磨かない場合でも、天井から吊り下げられている左右の輪灯(りんとう)と呼ばれる仏具は外しておきましょう。お掃除の際に腕などが当たると、この輪灯が揺れてお仏壇の柱や側面の板を傷つけることがあります。
- 電気ろうそく類は配線の長さが許せばお仏壇の外に出したり、お仏壇の一番下の段に柔らかな布などを敷きその上に倒しておきましょう。掃除中に仏具が倒れて傷がつくのを防いでください。
- 経本やお位牌などは床に置かないでください。テーブルにおきましょう。
2.ホコリを取る(外側)
さて、いよいよお掃除に取りかかります。
掃除機と毛ばたきを使い、お仏壇内外のホコリやゴミをできるだけ取り除きます。
まずはお仏壇の扉をすべて閉じてください。
その状態でお仏壇の上部、側面、表側に付着しているホコリを毛ばたきで払いながらそれを掃除機で吸い取ります。このとき掃除機は「長い棒」を外して短くしておきましょう。そしてその掃除機の口を常に毛ばたきの近くに持っていくことにより、ホコリがあまり舞うことなく吸い取ることができます。毛ばたきは上から下へ順番にパタパタしてください。
3.ホコリを取る(内側)
外側の扉を開き、障子(内側の扉)の表、裏と毛ばたきを当てます。それが終わればお仏壇内上部にある屋根から順番に下の段にかけて、先ほどと同じ要領でホコリを取り除いていきます。
- お仏壇内の隅にはホコリのほか、ご飯粒などがたまりがちですので隅のほうは重点的に確認してください。ご飯粒などが残ったままになると、塗装面を磨くときにそれが原因ですり傷がついてしまいます。
- 金箔箇所に毛ばたきを使うのは力加減が難しいものです。どうしても、という場合には部品に垂直に当たるように毛ばたきをポンポンと軽く叩いてください。絶対にこするようには動かさないでください。金箔がはがれることがあります。
4.塗装面を磨く(お仏壇本体)
きれいな布(または脱脂綿)にクリーニング液を染み込ませ、漆やその他塗料(黒色や朱色など)で塗られている面を拭いていきます。拭くときにあまり力を入れないようにしてください。最初の段階では塗装面を「磨く」というよりも、「砂ぼこりを拭き取るだけ」のつもりでいいでしょう。掃除機だけでは取れなかったゴミやちょっとした汚れを軽く拭き取るつもりで。砂ぼこりやゴミなどが残っている状態で力を入れて拭くと塗装面にキズをつけてしまいます。
おおまかな汚れが取れたところで、布を取り替え、再度クリーニング液を染み込ませたきれいな布で拭いていきます。このときは塗装面のつやを出す気持ちで「磨いて」ください。
そして再び布を取り替え乾拭きをしてください。クリーニング液を拭き取って完了です。
やはり上の段から順番に拭いていきます。
- 塗装の破片や硬いゴミがある場合は取り除いた後拭いてください。
- 金箔に近いところは2、3センチ離れたところまでを拭き、金箔のそばの汚れ等は布にわずかに残っているクリーニング液で拭き取るようにしてください。液がたっぷりついていると金箔に付着してしまいます。
- 漆などで絵(蒔絵)が描かれている箇所はクリーニング液はつけないほうが無難でしょう。金箔同様、力加減がわからないと金粉などが取れてしまう可能性が大いにあります。
- 塗装がはがれている箇所は拭かないでください。塗装が布にひっかかり、ますますはがれていきます。もしくははがれている付近には綿棒を使用してください。
5.塗装面を磨く(木製仏具や引き出し)
お仏壇本体同様、仏具や引き出しの汚れ取り、つや出し、乾拭きをします。
引き出しについては底面の裏もサッと磨いて砂ぼこりを取り除いておくと、出し入れがよりスムーズになりますよ。
またせっかくですので、引き出し内の大切なもの・不要なものの整理整頓もこの機会にしておきましょう。
6.金属製仏具を磨く
金属磨きにはクリーム状のものやぬるま湯で薄めて使う液状のものなどが市販されています。扱いやすいほうを選ばれればよろしいでしょう。
いずれの金属磨きを使用する場合でも取り扱い説明書に従って磨いてください。金属磨きが仏具の模様のすき間に入り乾いて固まった場合、歯ブラシを当てて取り除いてください。
- 色が落ちたりメッキがはがれる場合もありますので、着色やメッキを施してある仏具を磨かれる際にはご注意ください。磨いてよいものかどうか判断がつかない場合は、お近くの仏壇店・仏具店で確認してもらいましょう。
※毎回金属製仏具を磨くのが困難・面倒な方には、仏具の変色を長期間抑えるフッ素加工をおすすめします。詳しくは「金属製仏具磨き」をご覧ください。
7.仏具を設置する
最後に仏具を元にあった場所に戻して完了です。
- 仏具の脚が3本や5本など奇数のものは、そのうちの1本が正面を向くように設置してください。金属製の仏具であれば香炉やロウソク立てなど、木製のものであればご飯を盛った仏器(ぶっき)を置く仏器台や香炉をのせる香盤などに多いです。
数年に一度は専門家にまかせてキッチリと
ここまでご覧いただいた方の中には、
「なんだか大変そう‥」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
そのような方には専門家がお手伝いをさせていただきますのでお気軽にご相談くださいませ。
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仏檀修理アドバイザー
富山県内仏壇店での仏壇製造・修理現場勤務をきっかけに独立。気がつけば20年以上お仏壇の修理・お手入れに携わってきました。
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